今回は羽田空港に4本ある滑走路の運用方法について解説しようと思います。
滑走路の運用方法なんて飛行機オタク以外に需要があるのかって感じですよね…笑
僕も以前までは全く知らなかったですし興味もなかったので、飛行機に乗るときにはただ乗るだけでしたが、滑走路の運用方法を知ったことで旅行の楽し方が変わりましたし、空港や周辺で過ごす際にもどこに行けば離着陸がどんな見え方するのかわかって、飛行機を見ることがより楽しくなりました!
運用方法を知っていれば誰かの送迎をするときにも、どの滑走路から離陸するか、どの滑走路に着陸するのかがわかって、相手との思い出が彩られると思います。
運用方法の解説に入る前にまず羽田空港について少し紹介します。
羽田空港は正式名が「東京国際空港」ですが、「国際」とある通り国内線だけでなく、国際線もたくさん発着するハブ空港になります。
羽田空港の敷地面積は1,515ヘクタールあるそうなのですが、これは渋谷区とほぼ同じ大きさなんだそうです…!(渋谷区の面積:1,511ヘクタール)
東京ドーム○個分よりもわかりやすい笑
日本一大きい空港になるみたいで、2位の成田空港は1,172ヘクタール、3位の関西国際空港が1,068ヘクタールになります。
ヘクタールだと馴染みがなくて羽田空港が他の空港と比べてどれだけ大きいのかパッとイメージつきにくいですが、100ヘクタール=1㎢なので2位の成田空港より3.5㎢近くも大きいとなると、どれだけ大きいのかわかりますね。
滑走路は長さ2,500mが2本、3,000m以上が2本と計4本あり、滑走路数も日本一になります。
これだけ大きくて多くの滑走路があるので発着数もかなり多く、なんと山手線並みの2〜3分おきに発着しているみたいです…!
山手線並みとか半端ないな笑
2023年の世界の混雑空港ランキングでも第3位になるほど忙しい空港なんだそうです。
航空法やIATA(国際航空運送協会)の混雑レベルの基準でも、羽田空港は最も高いレベル3に分類されています。
見る側としてはたくさん飛行機の離着陸が見られるから楽しいですが、働いている側からしたらたまったもんじゃないですよね…
ということで、ここからそんな過密スケジュールをさばいている羽田空港の4本の滑走路について解説していきます。
前述の通り羽田空港には4本の滑走路がありますが、第1と第3ターミナルの間がA滑走路、都心寄りの南北に伸びている滑走路がB滑走路、第2ターミナルの前がC滑走路、東京湾側にポツンとあるのがD滑走路になります。
滑走路には両端に数字か書かれているのですが、こちらは北を360°とした方位角を表していて、滑走路の向いている角度になります。
数字は2桁になっていますが、これは1桁目を省略して表しています。(桁目を省略している理由を調べてみたのですが、見つけきれなったのでわかったら追記します)
また、A滑走路とB滑走路には数字の後ろにLとRがついていますが、こちらは「Left」と「Right」のことで、両滑走路が同じ方角を向いているので、離着陸する際にどちらの滑走路か判別するために左右で表しています。
例えば、A滑走路を東京湾側から都心側に着陸する場合は、滑走路が340°の方向に伸びていて左側なので「34Lに着陸」、D滑走路を南側から北側に離陸する場合は、滑走路が50°の方向に伸びているので「05から離陸」となります。
ちなみにパイロットと管制官は聞き間違いを防ぐために1桁ずつ発音してやり取りしているので、読み方は以下の通りになります。
・04 ➡︎ ゼロ・フォー
・05 ➡︎ ゼロ・ファイブ
・16L ➡︎ ワン・シックス・エル
・16R ➡︎ ワン・シックス・アール
・22 ➡︎ ツーツー
・23 ➡︎ ツースリー
・34L ➡︎ スリー・フォー・エル
・34R ➡︎ スリー・フォー・アール
実際にパイロットと管制官がやり取りする際は、例えば管制官からパイロットに16Lから離陸を許可された場合は”Runway 16 Cleared for Take-off”、34Rへの着陸を許可された場合は”Runway 34R Cleared to Land”といった言い方をします。
ここまでが空港の滑走路の基本情報になります。
飛行機を操縦するわけではないので、ABCDのどの滑走路で離着陸するかわかれば十分なのですが、こちらの滑走路の数字も覚えるとより理解が深まりますし、羽田空港以外でも応用できるのでぜひ覚えてください!
次からが運用方法になりますが、羽田空港では北風と南風の風向きで運用方法が変わります。
その理由ですが、飛行機は向かい風の方が効率良く離着陸できるからです。
離陸の際は向かい風の方が揚力(上にあげる力)が強まってより短い距離で離陸することができ、着陸の際は向かい風がブレーキの役割をして飛行機が止まるまでの距離が短く済みます。
そのため離着陸の際に向かい風になるように、北風と南風のときで運用方法が変わるんです。
それではまずは北風運用時の運用方法を解説をします。
北風運用時はA・C・D滑走路を使用して離着陸を行います。
離陸ですが、北方面に向かう便はRunway 34Rを使用して離陸します。
南や西方面に向かう便はRunway 05を使って離陸します。
次に着陸ですが、北方面から来る便は離陸と同じくRunway 34Rを使用して着陸します。
南や西方面から来る便はRunway 34Lを使用して着陸します。
次に南風運用時の運用方法を解説します。
南風運用は時間帯によってパターンが2つに分かれて少しややこしいです。
まずはパターン①ですが、こちらの運用方法は0時〜15時と19時〜0時の時間帯に適用されて、滑走路はA・B・C・Dの全てを使用します。
離陸では、北方面に向かう便はRunway 16Lを使用して離陸します。
南や西方面に向かう便はRunway 16Rを使って離陸します。
着陸では、北方面から来る便はRunway 23を使用して着陸します。
南や西方面から来る便はRunway 22を使用して着陸します。
次に南風運用のパターン②ですが、こちらの運用方法は15時〜19時の時間帯に適用されて、A・B・C滑走路を使用します。
離陸では、北方面に向かう便はパターン①同様にRunway 16Lを使用して、滑走路の状況によってはRunway 16Rからも離陸します。
南や西方面に向かう便はRunway 16RとRunway 22を使って離陸します。
どの便がどっちの滑走路を使って離陸しているのか把握できていないので、細かい部分までは説明できないのですが、沖縄便はRunway 22、福岡便はRunway 16Rをいつも使っているイメージなので、この2つは決まっているのかもしれないです。
そして着陸に関しては、北方面から来る便も南・西方面から来る便も、どちらもRunway 16L/Rを使い、そのときの滑走路や上空にいる飛行機の状況によって、どちらの滑走路に着陸するか変わります。
ということで、以上が羽田空港の滑走路の運用方法の解説でした。
状況によっては通常の運用とは異なる運用方法になることがありますが、こちらが基本となりますので、ぜひ覚えてみてください!
こちらの運用方法を覚えておくと、空港で飛行機を見るときだけでなく、飛行機になる際にも活用できます。
「今日は北風/南風運用で、自分の乗る飛行機は北方面/南・西方面に向かう便で、この滑走路を使うから離陸するときにこんな風景を見られるな」とかあらかじめ予想できますし、着陸の場合もあらかじめ予想できます。
数日前に天気予報を確認して風向きを把握して離着陸で使用する滑走路を予想しておけば、当日見たい景色が見られる座席を指定するなんて活用法もあります。
たったこれだけのことですが、僕もこれで飛行機の楽しみ方の幅が広がったので、ぜひ皆さんも運用方法を覚えて活用してみてください!
最後に余談ですが、飛行機は向かい風を利用して飛ぶといった話をしたので、それに関連した名言で僕が座右の銘にしているヘンリー・フォードの言葉を紹介します。
“When everything seems to be going against you, remember that the airplane takes off against the wind, not with it.”
「すべてがあなたにとって向かい風のように見えるとき、思い出してほしい。飛行機は追い風ではなく、向かい風によって飛び立つのだということを」
また、国土交通省がHPでこの滑走路の運用方法にも関係する飛行経路について説明していたり、羽田空港のHPで羽田空港の敷地面積が渋谷区とほぼ同じといったような羽田空港関連の豆知識を載せていたりするので、参考にリンクを貼っておきます。